特別な日/キヨカパパ
 
かになった
男は無造作に幅広の剣を出すと その一閃で見事に山羊の首を切り落とした
首は勢い良く飛び そして転がり 私の視界から消えた 目を戻すと 胴体はようやく痙攣を始めた

時計が午前一時半を回る 頁を捲る手を止め
毛布の間から少しだけ頭を覗かせたお前を窺う
秒針の音の間に母の鼾が溶けてゆく と 爆ぜるように父の咳
眠れないのだろう 半身の感覚を失ってから 父の眠りはあまりに短い

あとは祭司の短い祈りで終わった あっけなさすぎて私は特になにも感じなかった 
これを見て肉が食べられなくなる人間がいるなんて 悪い冗談だとさえ思った
生け贄の山羊はこのあと捌かれ 山羊を捧げた家
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