書店で働くということ/吉田ぐんじょう
から伐採し
店の外に放り出す
今までにそういう人はたくさんいたらしく
うちの店の前には
材木がたくさん積んである
夏になったらキャンプファイヤーをやろう
と言うと
漫画本にフィルムを巻いていたアルバイトさんが
いいですね
肉も焼きましょう
と言って笑った
書店で働き始めてから一ヶ月になるが
本というのは不思議なものだ
腕の中でさまざまに形を変えるのだ
一度
単行本を整頓しているときに
ふと気づいたら
腕の中で赤ん坊がわらっていたことがある
それは
将来わたしの生む赤ん坊のように見えた
たまらなくいとおしくなって
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