土曜日の森/はじめ
 
の顔を見て 「森の神が怒っているのよ。きっと奥さんに浮気されたんだわ。奥さんはゼウスみたいな人だもの」と笑った 「だからこの森は神様の気分によって季節が変わりやすいの」 僕も笑って早く機嫌が直ればいいのにと言った 吹雪は激しさを増して風が異常に強く真横に降っていたが しばらくすると吹雪は止み 春の陽気が戻ってきた
 僕はまたピアノを弾いて 皆はダンスを踊ることに耽った それはいつまでもいつまでもいつまでもずっと続いた 僕の頭の中のレパートリーは既に尽きていたけど 何故か僕の知らない聴いたことも無い曲を弾きこなしていた
 季節は巡り夏を過ぎて 秋になっていた 夏まで僕達の目を楽しませてくれた様々
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