新川和江 ??〈永遠〉を志向する大きさ/岡部淳太郎
 
」という生活感覚のある描写から始まり、そうした感覚をはっきりと否定した上で、詩人特有の感覚、〈永遠〉の感覚の方へと読者を誘導していく。「たましいのせかいでは/わたくしもあなたもえいえんのわらべで」と現実の生活から離れた場所を指定した上で、先に引用した「冬の金魚」のように夢の中に沈んでいる。最後に置かれた「たえまなくさくらのはなびらがちりかかる」という一行は、こうした〈永遠〉を際立たせるための一種の舞台装置のようなものなのだろう。それは詩を口当たりよく終らせる効果をも持っているだけに、読者によってはあまりにも出来すぎているように感じられてしまうかもしれないが、詩人の感性に忠実に従った詩作という観点か
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