新川和江 ??〈永遠〉を志向する大きさ/岡部淳太郎
かなしむひつようがありましょう
ごらんなさいだいりびなのように
わたくしたちがならんですわったござのうえ
そこだけあかるくくれなずんで
たえまなくさくらのはなびらがちりかかる
(「ふゆのさくら」より)}
詩人の代表作のひとつであると思われる詩集『比喩でなく』(一九六八年・地球社)に収録された詩である。この平仮名だけで書かれた詩は、一種の恋愛詩のようなふりをして読者の前に現れる。だが、引用の後半部分を読めば、この詩が単なるとおりいっぺんの恋愛詩で終っていないことは明らかだろう。「おとことおんなが/われなべにとじぶたしきにむすばれて/つぎのひからはやぬかみそくさく/なっていく」と
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