新川和江 ??〈永遠〉を志向する大きさ/岡部淳太郎
中に入りこみやすくさせている。
だが、そうした技術的なことよりも注目すべきなのは、この詩人が第一詩集という年若い時点で生と死のあわいを見つめてしまっているということだろう。だが、それは単に「いのちのかなしさ」を慰撫するだけに留まっていないことが大きな特色だ。「ひたぶるの この水中思考」の中で「金魚」が「夢見るであらう」ことを予見している。それは「白き腹見せてとはのねむりにつく時」に訪れるはかない一瞬のものであるのかもしれないが、「つひにのぞむを得なかった/つめたく燃ゆる銀嶺の雪を」「夢見る」ことが、それこそ夢のように期待されている。ここには「金魚」に象徴された短い生(「いのちのかなしさ」)が「
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)