新川和江 ??〈永遠〉を志向する大きさ/岡部淳太郎
 
結実を見せた一九五〇年代から二十一世紀の現在に至るまで、その長い詩歴の中でいくつもの秀作をものにしてきた。その作風も多様で、現代詩の名作のひとつとして数えられる「土へのオード 13」のような作品もあれば、年少読者を意識したと思われる一連の「幼年詩集」シリーズもある。その作風の振幅の大きさを見ていると、谷川俊太郎をちょっと思い起こしたりもする。


{引用=   ひらひら ひらひら

夏のさかりを生きのびて
金魚は夜もねむらない
ひたぶるの この水中思考

(中略)

いつの日か 水藻のかげに
白き腹見せてとはのねむりにつく時
金魚は夢見るであらう
つひにのぞむを得なかっ
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