イチコが死んだ日/十
おまえの母が僕の家にやってきたのは
それから少し後のことです
時折僕の家にやってくる僕の父や母にも
どこか遠慮しているような感があったイチコでしたが
おまえの母とは
まるで十年来の友達のように
まるでご近所の奥様方が談笑しているかのように
暮らしていました
おまえが僕の家にやってきたのは
それから少し後のことです
イチコとおまえはまるで姉妹のようでした
イチコが振舞うようにおまえは遊び
おまえが笑うようにイチコは暮らしました
僕たちは
ほぼ毎回
死に少しの希望を
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