しかばねのやま/構造
 
けで蛋白質を分解する酵素を発しているという。だとすればこれは
生命の汁であると同時に屍の匂いのする汁と言っても過言ではあるまい。
くだらぬ未練怨恨の句ではあったが正に己のむざむざ殺した情欲の屍の猛烈を
示すに値するものではないか。

そこで愚拙は幻視した。へのこの痺れと虚脱のあとに高僧が突然あらわれ
お前は何故に生きているのかと問われ屈辱と虚脱、汚濁にまみれながら
麻痺した脳には何も浮かばずひきつった笑みを浮かべざるを得ない状況である
はたして人間の尊厳などというものがこの虚脱にふるえている己に当てはまる
かといえばまずあてはまらぬ。性愛の甘美をもってして聖性にかえようという

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