しかばねのやま/構造
魔羅と称するのもさもありなんといえる。
さて愚拙が何となしに辞世を残し来るべきお迎えに備えておったときのこと
当然健全といわぬまでも健康な体であるから死ぬときというものがくるとすれば
不慮もしくは非業のものと決まっている。とはいえかの松陰先生のごとくに
とどめおかまじと残すほどのものもなく、高僧の遺偈のごとく二十余年快哉と
鷹揚とかまえるほどのものもない。つまらぬ人生ではあるが当然死ぬことになれば
未練怨恨が残る。よって下の句には"匂ひをば知れ屍の山"と記したのである
屍の匂いというものがたしかに菌虫による蛋白質の分解であるとして精液というもの
はそれだけで
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