季節外れに壊れた扇風機/
 
ように、ただ
いつまでも何もない虚空を見つめ続けていた
と聴いています

ほんとうにほんとうのところは
わたしの身体に等間隔で刻まれた
何かを計測するためのメモリと
赤い液体は
いつまでたっても何も示していなかったし
いつまでたっても
壁の黒い穴と同じように
わたしはわたしじゃなかった
とも聴いています

わたしがこの家にやってきてから
もう どのくらいの時間が流れたのか
わかりませんが
すっかり大きくなった主人が
ガラガラと窓の外から帰ってきて
腰も下ろさず
ふらふらぐにゃり
そのままベッドに倒れ込んでしまった
夜半過ぎのことです

その日は

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