海眼/チグトセ
 
――科学的にはそれほど綺麗でもないしぶき――を立たせた
あなたはまぶしい黒の水着姿で、たくさんキラキラしたものの中に揺れていた
きっと、隠そうともしない無邪気さを露わにした笑顔で
フェルマータのようなえくぼを頬に刻んで
肌を塩水で潤わせ
また湿った肌を陽に通し
跳んだり、はしゃいだりしていた
僕は揺れるあなたを想っていた
だが僕にはまぶしいあなたが見えないのだった
それはまぶしすぎて目がくらんだわけではなく
目を逸らしてしまったからではなく
単純にぼやけていたわけだけど
遠くから、友人たちとビニールのワニを介してたわむれるあなたを見ようとした

まぶしい、あなたの姿が見
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