散文リハビリテーション/楢山孝介
は『荒地』派の詩人では中桐雅夫が好きです」なんてことを通りすがりの初対面の人に言い出しかねないような状態に陥ってしまった。もちろん嘘だけど。
「確かに僕は詩が好きです。いっぱい読みます毎日書きます。けど、自分は自分を詩人だなんて思ってないし、詩を書く人という認識を持たれては何だか申し訳ない気分になるというか、やっぱどちらかというと自分は散文の人だと、そう思うわけです。何故かというと、ほら、今詩のことで頭がいっぱいなわけですけど、そのいっぱいいっぱいの頭の隅の隅に住み着いている墨で付いた一点の汚れみたいな小さな小さな部分が『書きたいです、散文書きたいです、何でもいいから書きたいです、助けてくだ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)