【超短小説】不揃いカフカ/なかがわひろか
からないからやめておいた。それは正解だったようだ。君の興味はもう既に他の物に移っていた。いつだってそうだ。気づけば君は他の物に興味を移す。それは厳密に言えば当該の対象に関連した物への新たなる興味であり、まるっきり他の物に興味を移してしまうわけではないのだけれど、一度興味を移した君がもう戻ることはないことは僕はよく知っている。
君はもう一つある本棚をまた丹念に一冊ずつなぞっていく。
本はその人の思想を示す。
きっとその通りかもしれない。
その人がどんな本を読んでいるのかを見れば、その人がどんなものに興味があり、どんな物に嫌悪感を示すのかが分かる気がする。たとえばそれが雑誌であっても、
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