短編「The First Encounter」/板谷みきょう
。先輩は言った。子供を助けないでどうする、子供には未来があるじゃないか。その時、六十年代安保を挫折した先輩を前にして、ボクは、そうなのかと、真実思ったものだ。
そうさ。その問いには、極限状況を設定した中で[過去の自分]と[現在の自分]と[未来の自分]のいずれかを選択する事で今の自分は究極の困難な状況に対して何をどう考えているのか?を測る単純な心理ゲームに過ぎなかった。なのに…
だけど本当は、答えなんかどうでも良かったんだ。と今なら思える。あの時は、日々そういった状況を、リアルに意識して生きているかどうかが問題だったんだ。大切なものは、いつもそこにあったはずだった。けれど、今のボクには、この
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)