短編「The First Encounter」/板谷みきょう
違った、疑問の中でしか生き続けられない哀しさを教わった。そして、答えを待ち続けていたはずのボクの中には、いつしか再び、学生時代の先輩の問いが思い出されていた。
家族三人で吊橋を渡っていた。すると突然橋が崩れ濁流に飲み込まれ、流されてしまった。自分だけが、偶然に川の中央にあった岩につかまる事ができた。しかし、はたと気付くと、岩を中央に一方にはつれあいが、他方には子供が、同じ距離で流されて行く姿が目に留まった。今なら、どちらか一人を助けられるかも知れない。その時、君なら一体どちらを助けるだろう。
夜更けにボクは、つれあいを助けると答えた。訳は、子供ならまたつくれるからね。と付け加えて…。先
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)