短編「The First Encounter」/板谷みきょう
に不確かな、危うい何かしか見ることは出来なかった。愛があるという肉体関係と、欲望に支配されただけの愛のない肉体関係の存在。[※好きでもない女を抱けるのが男で、それはやはり羨ましい限り。好きな男に女は抱かれたい、それはやはり素直な気持ち。]そんな歌声が流れて来ていた。本当にそうなんだろうか。そして、ボクもそうなんだろうか。戸惑い、迷い、疑い、そして考え続けていた。肉体を欲するが為に愛を囁くのか、愛の結果として肉体的な交わりが生じて来るのか。そこには、生殖行為という観念は入る余地は無かった。その頃のボクは、ネオン街で働いている様々な水商売のホステス嬢と知り合えていた。その付き合いの中で、愚問と知りつつ
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