短編「The First Encounter」/板谷みきょう
 
、彼女の裸体を思い浮かべる想像的強姦の方が愛に近いのではないだろうか。

 『どうしようもなく好きなんだ。』という気持ちから始まる素朴な幻想的で、馬鹿みたいな感性から出発する、もろくて、あやうい想像こそが本当の様に思えてくる。哀しみが優しさを、切なさがいとおしさを、やる瀬なさが慈しみを…。たくさんの心の動きが、心を豊かにしてくれるはずだという信念のなかで『最後に一人だけを選びなさい。』と言われながら、二人を得ようとするボクの罪に、いつ天罰が下されるのだろう。脅えながら、けがれたボクは答えを待っている。相手からの返事を、それでも待っている。現実感の遠のきを感じながら、それでも死なないで、中途半端
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