短編「The First Encounter」/板谷みきょう
れて捨てられて、忘れ去られ裏切られ傷付け合っても愛し続ける行為にこそ、本当の愛が見えて来るのだ。
『愛したい。愛せない。……』それはまさに、かつて、二十一才の時に勝手に裏切られたと思い込み、自殺未遂事件を起こしてしまったボクの感覚の想起なのかも知れない。その繰り返しの渦の中でボクは、彼女を恨み、人間を嫌悪し、ボク自身を嫌悪する。きたなく、汚れた歪んだボクの愛。いや、ボク自身。それが虚ろな目をして部屋の隅で、再び広くて大きな海を眺めている。
『バレンタイン・デイ』と云う唄は、少女へ告白をする少年が、バレンタイン・デイに、事もあろうに学校の昼休み勇気を持って、クラスのみんなの前で少
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