短編「The First Encounter」/板谷みきょう
 
を刻んでいる。ウエイトレスは、アルバイトと一目で解るほどぞんざいで、まるでそれがファッションでもあるかの様だった。それぞれに思いを馳せ十六才のボクは、「喫茶店とは、ホットコーヒーを飲むのが礼儀なのだ。」と思い込んでいる。それだから味も解らず、ただ熱いコーヒーを無理に飲んでいたのだ。だから、その後の楽しみとして、付いてきたミルクと砂糖を水に溶いておもむろに飲んでいたんだ。カウンターの方で、ウエートレス達がひそひそと目配せをしながら、くすくすと笑っている。いつもの事だ。ボクはうんざりしていた。その事だけじゃない。ありとあらゆる出来事に対してだ。

 髪を無造作に延ばして髭をたくわえた彼は、それに比
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