風のうしろに風はない/佐々宝砂
 
てしまったから、ポイントをいれられなかった。私個人は「凪の日」という詩に非常に惹かれる。この詩がもたらす癒しにどうしようもなく惹かれる。最初から最後まで考え抜いて書かれた、技巧的な詩であるとも感ずる。「石版」「すべての荷をほどき」「潮騒」「峠の起伏」「和やかな野のひろがり」こうした言葉は、さまざまな種類の読者を効果的に癒やしてゆくだろう。これらの言葉にここちよさを覚える人は多いだろう。この詩は、実際の話、非常に巧い詩なのだと思う。

いとうさんの批評にある「この作品は詩人にしかわからない話をしているように見えるが実は詩の話などしてはいない。」という言葉は卓見である。「凪の日」において、詩はモチ
[次のページ]
戻る   Point(11)