巻貝の中に棲む女/猫のひたい撫でるたま子
 
あろう上品なブランドのピアスを何度かプレゼントしたことがあるが、彼女がしているところは見たことがなかった。「ありがとう」と包みを丁寧に広げ、彼女が眩しそうに見つめた華奢なピアス、僕の給料の半分くらいをつぎ込んだそれは、質屋か何かに売られてしまったのかもしれない。

僕は専ら彼女にご飯をあげる係だ。他に、寝かせたり、お風呂に入れたり、服を買ったりと色々な係があると想像するが、彼女に聞くことはない。多分そうしてしまった男は彼女を失ってしまったのだろう。

なにせ秘密の多い女で、それを楽しめ、少しばかりの我慢をできないと彼女を一時所有することは出来ない。一時、というのが大切で、彼女の他に自分の時
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