巻貝の中に棲む女/猫のひたい撫でるたま子
 
の時間を上手に作れなくなると、男たちは髭も剃らなくなり、彼女を探しまわることになる。

非力な彼女は男たちにとって、何なのだろう?

猫や犬でなく、何かあまりいない特別な生き物を飼う様な感覚だろうか。しかし、放し飼いなので好きな時に可愛いがりは出来ない。本当は夜になると、彼女はあの紫色の巻き貝の中にしゅるしゅると吸い込まれて眠っているのかもしれない。動物ではなく、海に棲む貝類に僕はステーキや天麩羅などのご飯を与えているのか。

彼女と過ごす時間以外を僕はどう過ごしているかといえば、こうして毎日彼女についての研究をレポートしているのである。


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