【短:小説】あまがえるの雨宿り/なかがわひろか
 
さ。なんせやつらはやる気がない。雨がないと自分たちが困るってことをわかってやいないのさ。」大分酒が回りだしたようだ。あまがえるは僕にそう言って絡みだした。
 「人間の世界でも一緒さ。どこの世界でも若者はやる気がない。」
 あまがえるはいかにも、という風に真っ赤になった顔を大きく振って頷いた。
 「だからって僕だってやる気がある訳じゃないさ。それなりの人生を生きることができて、こうやってうまいスコッチが飲めればそれでいいんだ。だから僕が君の後釜を継ぐのは難しそうだね。」僕はさきほどのあまがえるの提案にちゃんとNOの意志を伝えておいた。
 随分飲みすぎたのだろう、あまがえるはすっかり寝入ってい
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