家族という不思議な集合体。/渕崎。
それがあるべき家族の風景でもあるのだ。
年齢も性別もまったく違う四人が、ただ家族というだけでこんな風に同じ空間でくつろいでいる。
時折冗談を言って笑いあったり、ちくりとした嫌味を飛ばしたり、でもそれをも笑い飛ばしたり。
そこに遠慮はなく、あるのはただ親愛の情だけ。
わたしにとって「家族」は「家」という一番小さなコミュニティーに属する者たちの集まりだ。
けれど、同時に「家族」とはなんとも不思議な集合体だとわたしは思ってしまう。
他人だった父と母が出会って結婚し、わたしたち姉弟を生み育て、こうして顔をつき合わせて同じテレビ番組を見て他愛もなく笑いあっている。
好きなものも嫌いなも
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