家族という不思議な集合体。/渕崎。
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家族でそれぞれのいいたいことばかりの会話が飛び交う食卓を囲む以外、誰一人として一緒に行動をとるものはいない。
時折、食事を終えたあとも全員がなんとなく意味も理由もなくリビングに集合しているとき、そんなときすら同じ空間にいるのに会話一つなく、てんでばらばらの好き勝手な行動をとる。
なのに、それ関して違和感を感じることも不都合を感じることもなく、ただ黙々と各自のしたいことをやっている。
日記をつける父。
アイロンをかける母。
宿題をする弟。
PCの画面を見つめるわたし。
そして、家族の誰かのそばに寝そべって甘える愛犬が一匹。
わたしにとってそれは見慣れた家族の風景で、それ
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