家族という不思議な集合体。/渕崎。
 
「家族」とはなんとも不思議な集合体だとわたしは思う。


父親は、実家ではなく少し離れた場所で家族を養うために働いている。
母親は、家族のために食事を作り洗濯をし、そしてパートへと出かけていく。
弟は、毎日毎日何が楽しいのかわからないが楽しそうに学校へ通う。

わたしはぼんやりとそれを日々眺めながら、過ごす。
時折気が向いたときには洗濯物を畳みながらパートに出ている母の仕事場の愚痴交じりの話を聞き、食卓を囲めば弟がつらつらと脈絡もなく今日あった出来事を楽しげに話すのに耳を傾ける。
週末だけ帰ってくる父とは会話らしい会話はないが、週末だけの夕食を一緒し、ただリビングで同じ空間を共有
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