僕は神様/はじめ
 
くるまるような姿勢で身体を密着させてきた。胸の鼓動が一気に加速した。ぴんと延びる手の甲にちくちくと刺さる感触があった。
木の枝を抱いて眠るコアラのようなアカリをちらっと眼の端で眺めた。彼女には女としての自覚が全く備わっていないように感じた。彼女はまだ男というものを知らないのだ。そして常識も。知っていれば全裸で男の腕に抱きつくなどというような、現世では淫らで卑猥な行為とされていることなど決して行わないだろう。僕はアカリに、自分にとって都合の悪い余計な教育は施していなかったのだ。
 …だが。
 これからは違う。ここがどこであれ親の立場上、ここの世界の権力者である以上子供に対して、いや奴隷に対して
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