僕は神様/はじめ
面倒になりそうなことは何一つ喋っちゃいないんだ。ボクの自殺した動機についてもね。そんなことをアカリに話したってボクに何の得があるっていうんだい? なぁ? そんなことをしたらこの世界と、ボクのでっち上げた現世とは名ばかりの虚像の世界との間に生じる不都合な点が余り腐るほどバレてしまうではないか? ボクが今まで彼女に話してきた現世なんてものはね、この空虚な世界にボクの都合のいいようにつくり上げた物語の産毛を生やしただけのものなのだよ。だからアカリの夢に出てくる全ての事柄がボクの想像上の産物にすぎないのさ……」
しばらくの間、沈黙が続いた。耳には未だに不安という名の天使が僕を矯正しようと食ら
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)