僕は神様/はじめ
たもの。絶対に踏み越えてはならない領域で厳重にタブー視していたもの。その音はまさにそれらが解き放たれた合図だった。つまり僕は闘牛と化したのだった。この何の変哲もない、誰かと誰かが狭い路地で互いの肩が擦れ合ったような響きは、目の前に紅く滲んだマントを身体に掛けている闘牛士の元にも聞こえたに違いない。彼女の股から薔薇の朝露が一滴、ぽたっと零れた。膝と膝との空洞の中を覗き込むと小さな血溜まりができていた。血溜まりは僕の顔と彼女の陰毛を妖しく反射させていた。もう僕には性欲を押さえるブレーキが効かなくなっていた。理性は性欲を促すばかりであった。なぜならアカリを女と思わずにはいられなくなったからだ。僕はさらに
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