僕は神様/はじめ
中の僕はニヤニヤした造形を一度崩し、わざとめんどくさそうな顔を浮かべ、
「全く……、昨日もその前の日も教えてあげたろ? しょうがないなー…」
僕は立ち上がり、学ランの上着の内ポケットからくしゃくしゃに丸まって汚れた黄色いハンカチを取り出した。そして彼女の目の前でそれを開いて、風を受けて進む海賊船の帆のようにヒラヒラとたなびかせると、
「あぁーっ! これだこれだー! きいろ、きいろー!!」
と、アカリはキャーキャーと喚きながらピョンピョン、とジャンプして、僕のハンカチを掴もうとした。僕は笑いながらアカリの届かない高さまで手を高く挙げた。しばらくの間、アカリはハンカチ取りに悪戦苦闘をしてい
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