僕は神様/はじめ
 
心は完全に親心へと変わっていた。自分の本当の子供ではないにしても、アカリは僕の大切な存在だ。この子がいなかったら、僕のこの世界での人生はとてもつまらないものになっていただろう。アカリがいてくれたこそ、僕もまた存在することができたのだ。
そんな感謝の念に浸っていると、白金の布を全身に巻き付けたアカリが僕の側に駆け寄ってきて、膝の上にちょこんと座って抱きついてきた。僕の首に腕を回し、髭面の頬に自分のほっぺたを擦り合わせると、アカリは満面の笑みを浮かべ、そして、頬から顔を離し、まだ上手くろれつの回らない口調でいつもの質問をしてきた。 
「…ねぇ、パパぁ、パパがアカリに教えてくれた?バナナ?ってどんな
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