僕は神様/はじめ
 
たのだった。理由は特に無い。強いて言えば一種の罪滅ぼしみたいなものだ。名はこの子自身が小さい頃から気に入っていたアカリにした。まぁ、本名といったって、僕がアカリを名字で呼ぶことはないだろうけれど、一応、現世と同じような教育方針でいこうと決意したものだから、名字があるのは常識といえば常識なのだ。
 
 
 彼女はそれ以降、だんだん僕とコミュニケーションができるようにまでに順調に成長していき、ここが現世ならばアカリはちょうど小学校に入学する六歳頃だろうか、桜が吹き乱れる春の並木道の中、アカリは元気に通学するのを想像してみたことがある。僕は胸にずきっと藍色の痛みが生じるのをよく感じていた。僕の心は
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