僕は神様/はじめ
 
 
 その後、僕はこの子に少しずつではあるが、簡単な単語を徐々に覚えさせていった。教えていった単語の中で、彼女が最も気に入った言葉が?明かり?という単語だった。この世界を成しているものの一つ、この単語を教えてあげてから、彼女はずーっと、まるで悪魔にでも取り付かれたように?あきゃり、あきぁりぃ?、と独り言なのだろうか、僕に言葉の意味を尋ねているのか、とにかくいつもいつも口癖のように口走っていた。このことから、僕はこれはもしかしてこの子のお気に入りの言葉なのじゃないのだろうかと感じるようになった。その時ふと、弾かれたようにはっと思い出したことは、この子にはまだ名前が無かったことだった。それまではいつ
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