僕は神様/はじめ
 
走馬燈のように駆けめぐった。その思い出達が旋回し終わった後も、それらは頭の中から消えることはなかった。それ以来、どういうわけか、瞼を閉じればいつでもそれらの風景をダイレクトに、鮮明に呼び出すことができるようになったのだった。今まではそんな昔のことなど、これっぽちも思い出そうと思ったことはなかったのだけれど、そんなことがあってからは僕はいつも、まだ自分が幼かった頃を思い出し、僕の腕の中ですやすやと眠っている赤ん坊と自分を重ね合わせていた。僕はいつの間にか自分でも気づかないうちに、自らの手でこの赤ん坊を大事に育てることを何よりの生きがいとしていたのだった。この子と一緒にいると心が和んだ。そして、いつか
[次のページ]
戻る   Point(0)