僕は神様/はじめ
どの時を歩んで、何かが見えてくるはずだ。僕にはそれが分かる。
新たな生命の誕生を祝福する僕の体をつくる細胞達の歓声を胸一杯に受けて歩き続けていると、何処からともなく聞き覚えのある動物の鳴き声が聞こえてきた。僕はびくっとして顔を上げて辺りをぐるぐると見回すと、以前僕が吐血してできた血の池がなぜか僕の五十メートルぐらい前方にあって、しかも血溜まりの中で誰かがきゃあきゃあ泣いている。
……赤ん坊だ。
布に何重にも巻きつけられていて、大事そうに包まれている。まるでミノムシのようだ。さらによく見てみると、まだ薄いながらも、茶色い毛が少量生えていて、僕の血溜まりの中で赤ん坊を覆う白金の
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