僕は神様/はじめ
 
時間が経過したのかは分からないが、意識が戻り瞼をゆっくり開けてみると、なぜか空っぽになった僕を僕自身が目の前で見つめていた。僕は僕を食い尽くして占領してしまったあの生き物の中で、消化中の自分の内蔵に囲まれながら、安堵しているような気がした。この光景は苦痛からの開放というより、自由からの離脱への喜びに近い僕なりの表現だと感じた。やがて僕を取り囲んでいる僕の臓器達はあの生き物の中で、かつて僕の体の中で元いたそれぞれの定位置に戻っていき、最初米粒程しかなかった脳は神経の根を生やし始めた。各器官も脳と繋がれ、様々な情報が行き交うようになった。神経はさらに全身に根を広げていき、身体の隅々へ機能再開を呼びかけ
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