僕は神様/はじめ
 
もう一度隅から隅まで僕の体全てを調べ直した。すると、右足親指辺りのスニーカーの表面に一つの血痕がぽつんと置かれているのを発見した。それはホクロのようにも見え、直径一ミリにも満たないような大きさのシミだった。僕はしゃがんでその黒点を指の爪でごしごしと擦ってみたが、どうやら完全にスニーカーに滲んでしまっているようで、結局、それを取り除くことはできなかった。僕はだんだんとイライラしてきて、ついには太陽の黒点のようなシミのもう一つの興味を失った。そのもう一つの興味とは、このシミがなにか、この何も無い世界と何らかの深い関わり合いがあるのではないか、それともこの世界を解き明かす重要なカギなのではないかという、
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