僕は神様/はじめ
親が飛び出してきた。母は夕立が降ってきたことに気づいたらしく、慌てて洗濯物を取り込んでいた。ベランダの柵に二つ折りにして掛けてあった僕の布団はすでに大量の雨にさらされていて、布団カバーの原色は殆ど失われて淡く濡れていた。その他の洗濯物も同じように洗濯機から取り出した直後の状態に逆戻りしていた。あーぁ、手遅れだ。もう一度洗い直しだな、と呑気なことを僕はぽつりと呟いた。
? 惜別
雨はさらに強さを増して洗いたてであっただろう、清潔できつい洗剤の匂いがする洗濯物を容赦なく叩き続けた。母はもうスリッパを履くことさえ忘れてベランダと家の中を行き来していた。しかし、いく
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