僕は神様/はじめ
 
りかけていると、よく聞こえづらいのだが微かに僕のクラスの担任が僕の名を呼ぶのが耳に届いた。二、三回同じ掛け声が聞こえてきたが、途中でぷっつりと途絶えてしまった。そしていきなり目の前に自分の家が現れた。家が僕の前に現れたというよりも、僕が家に引き寄せられたような気がした。僕はなぜか空中に浮かんでいて、ちょうど自宅の二階にあるベランダを見下ろすような具合だった。ベランダに張られた水色のロープにはびっしりと僕の家族の洗濯物が干してあった。僕がぼんやりと昨日着ていた黒のTシャツが風にはためいているのを見ていると、前触れもなくぽつりぽつりと雨が降り始めた。するとベランダのガラス戸が勢いよく開いて、僕の母親が
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