代表ジェラルミン、おおいに語る/hon
口から両手をつっこんで脊椎をわしづかみにされて
ガタガタ引きずりまわされているようだった
どちらが上でどちらが下かも分からない世界のなかで
彼は意識をうしなった……
つぎに彼が目が覚めたとき
視界にはいる風景はうす暗かった
自分のうえに瓦礫が積もっていると知った
彼は四肢に意識を集中させて
どこにもひどいダメージのないことを確認すると
まだマネキンを抱きしめていることに気づいた
マネキンは首から上がなくなっていた
寒気がしてマネキンを手放して彼は瓦礫から這い出た
店の外は粉塵で灰色に煙っていた
一面が無残に倒壊し黒く焼け焦げねじ曲がっていた
男は方向感覚を失って通り
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