百年と女/楢山孝介
い」
とか何とか言っていた
ヒーローのなんとかマンさんは困りながらも
なんとかわたしを討ち滅ぼした振りをした
彼からお金を受けとったわたしは
その一部を女に投げてやった
女は札束が重すぎると言って少し怒った
七十年前、からからに乾いた砂漠に小便をして
少ししょっぱいオアシスを作っていたら
見覚えのある女が迷い込んできた
喉の渇ききった女を止める術はなかった
生き返った、と女は呟いて、次にわたしに気がついた
「お久し振り、何だかわからないお方」と女は言った
わたしは小便のことについては何も言えなかった
六十年前から十年前まで省略
要するにそのあいだわたしはい
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