フリーダム渦巻きバレエ団/カンチェルスキス
 
めばいい。
 終わったら、静かにテーブルに銀のスプーンを置いて、慎重にこう言えばいいんだ。
「あのー、お姉さん、水もらえますか?」
 あの娘がやってきて、コップをテーブルに置いてくれる。水が入ってないのはなぜだかわかってる。ほとんど了解済みだ。だから、おれは焦ったり動揺したりするそぶりを見せたりなんかしない。おれがやるべきことは、堪能するだけだ。口の中で氷を噛み砕き、腕時計を見ながら、ちびちび飲んでいけばいい。その間に、あの娘が近くを通ったら、呼び止めて、あの娘のおばあさんの墓の場所を聞き出せばいいんだ。そしてその場所をテーブルにある自由ナプキンにメモって、来週の休みの日に出かけて、猫が寄っ
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