中華屋喫茶室/猫のひたい撫でるたま子
いてきてしまったから、一緒に暮らしていた。でも、1カ月が経って半年が経って、彼女の携帯電話が鳴って彼女が外に話しに出たまま、もう10日も帰ってこない。
学校もあまり行かないのに、いつも制服を着ていて、制服が好きなようだった。もしかしたら高校生ではなかったのかもしれない。顔は幼いのに、僕を君づけで呼ぶんだ。
大昔の恋人が話す電話くちで波の音が、ざざざんとゆった。
彼女はしてもしなくてもしてもいいくらい、細い細い指輪をしていた。
僕がちゃんと結婚指輪を買ってあげたら、居なくならなかったのかもしれない。
あんなに細い首で一人で生きてゆけるんだろうか、心配で心配で、きつねの嫁
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