マイノリティ・ウォーキング/角田寿星
るたあくんを抱いて
明日の天気だとか
今度の宝塚記念でどの馬が逃げるとか
とりとめもなく語り合っていたが
それにもやがて飽きてしまって
灯りを借りに二人して
外に出た
思いのほか涼しい風が吹いていた
21世紀は少なからずふざけていて田舎の私鉄沿線の住宅街に
まで車が遠慮なく走ってきて半袖半ズボンのおっさんがぷら
ぷらしてコンビニの蛍光灯やらファミレスの看板やらまぶし
くて近くには24時間営業のスーパーがあるし有名な寝ぼすけ
パン屋はタッチの差で閉まっていて昔よく行ったトンカツ屋
がつぶれていて牛丼のチェーン店や新装のラーメン屋を見つ
けてレンタルビデオの前の道路
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)