ひとりぼっちに、ならないように/たりぽん(大理 奔)
 
ひとりぼっちに
ならないように
鳴くことをおぼえた
あの日

どこまでも届けと
生まれてくる、こえ
書き付けられた
記憶ではなく
いま、あふれだす、こえ

ことばは、忘れないため
こえは、伝えるため

文字よりも先に
僕たちは鳴くことをおぼえた
伝えるために、うまれてくるものと
生まれてきた僕たちが
続いていくということ
紡いでいくということ

つたえて、つたえて
あなたがぼくの中で、

つたえて、つたえて
だれかの中で、

なくすことを怖がり
書き付けられた、きろくよりも
あなたのふるえるこえで
僕の中で咲く
胸の奥に灯る

鳴き
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