繁殖用/チアーヌ
結構年上のような気がした
「どうして?」
わたしは尋ねた
逃げたらどこへ行けるのだろう
この屋敷の外には
一体何があるのだろう
「僕は間もなく処分されるから」
彼には寿命が来たのだろう
生命のではなく
繁殖用としての
わたしは彼を見つめる
彼は言う
「僕と一緒に逃げよう。そして遠くへ行こう。
安全な場所に家を作り、子供を産み育てよう」
わたしはぼんやりと考えた
そんなことができるのなら、どんなに幸せだろうかと
わたしもそろそろ
処分されるときが
近づいている気もするし
そのとき
わたしの心の中で
何かが起こった
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