射精についての覚書、あるいはボードレールについての覚書/んなこたーない
フェラチオくらいさせてみようかと思ったが、結局少し話をしただけで別れた。一線を越えるには勇気が必要である。
セックスが好きだといっても、同じパートナーでは飽きが来る。ぼくは不特定多数の女性が相手の方がいい。習慣は敵である。だから結局は新鮮さが重要であって、相手が誰であるかはあくまで些事に過ぎないとも言える。
セックスにおける精神面を看過している気もするが、ぼくはあまりその手のものを信用しない。思えば、ボードレールのサバティエ夫人に対する精神的な愛と、最終的に「今は君は女でしかない」と書き送ることになる、そのあまりに無残な失敗を知るときに、例えばダンテと比べてかれの描いた夢の貧弱さに驚か
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