射精についての覚書、あるいはボードレールについての覚書/んなこたーない
 
驚かざるを得ない。そして、ぼくはそこにある程度、近代の頽廃が桎梏として作用していたのではないかと推測する。

 なにはともあれ、一番の恐怖はインポテンツである。ぼくは昔から大のアメリカかぶれなのだが、文学におけるインポテンツあるいはアンチヒーローの登場率はアメリカ文学がひときわ高いように思う。これはぼくの数少ない読書体験から導きだしたにすぎないのだが。アメリカが世界の嫌われ者だといわれるとき、その制圧的態度、つまりは男根的な面が問題になるのである。だからこそ逆説的にインポ文学が生まれる、というのもまだ推測の域を出ていない。

 もうひとつある。ぼくがもっとも好きな詩人はハート・クレインである。また、テネシー・ウィリアムズの大ファンでもある。二人に共通するのはズバリ同性愛である。(つづく)
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