春の首筋/蒸発王
 
たような朱色が
錯乱して弾けた
白い女の首筋に
ほとばしる血模様が
とても奇麗で
私は震える首筋に鼻先寄せ



醒める


この季節
私にとっては
ありふれた夢だ
春先によく見る

フェチシズムの表れかと思い
現実で女性の首を眺めてみたが
何も感じなかった
病んでいるのか
と疑い
そんなことあるか
と否定するために

ある晩


女に渡されたカミソリを
遠くへ投げてしまった
女は
切り裂いてくれ
と言わんばかりに
私に首筋を見せつけた
喉が乾くような
じりじりとした衝動を抑え
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